葬儀での撮影、さらに「焼き増し」?

 はてなではだいぶお久しぶりに書きます。mixiで書いている「コンビニ」バイトシリーズの第28回目です。

 先の日曜日の夕方のバイトにて。
 ある女性のお客様が、角A2型の封筒を持って、カウンターの前に立っていた。
 店にある商品は持たなくてもレジに立つお客様は結構いる。
 タバコに缶コーヒーにソフトクリーム、さらには宅配便などなど。

 でも今回のお客様はなんかいつもと違う雰囲気で、ワタシの前に立っている。
 なんか申し訳なさそうに、封筒から中身を取り出す。
 黒い厚紙(画用紙みたいなそれ)に挟まれた一枚の写真を差し出して、ワタシに尋ねる。

 「あの〜、この写真、そこのコピー機でカラーコピーできますか?」

 バイト先のコピー機は、モノクロ片面のみでしか使えない。FAXやらチケットなどの機能もない。ごくありふれた普通のコピー機なのである。
 そもそも基本的に、あるスーパーチェーンの末端に加盟しているので、細かいことまでできるわけがない。

 そういう理由で、ワタシは、
 「あの〜、コピー機はモノクロで文字だけで、写真はできないんですよ。」
 と答える。すると、

 「このお店は写真もやっていますよね?焼き増しってできないんですか?」

 いちおう写真のプリントアウトも憶えなければいけない業務にあるけれど、基本的にはデジタル記憶媒体もしくはアナログのフィルムなどの現像を受け付けるのみで、現像そのものは外部に委託しているのみで、持ち込まれた写真から焼き増しなどできない。

 「写真は、基本的に記録しているフィルムやSDカードなど保存媒体がないとダメなんですよね。写真から焼き増しっていうのはできないと思うんですけれど」
 
 と、その時に始めて、黒い厚紙の中身の写真を垣間見た。
 

 その写真は、ある葬儀の遺影と祭壇が映し出されている写真だった。

 
 エッ(@_@;)?、エッ(・_。)?(。_・)?

 お葬式の時に、故人の遺影と祭壇をこの女性は撮影したんだろうか?そしてそれを「焼き増し」する?
 黒い厚紙の理由はわかったけれど、それ以上にお葬式や告別式などの場面において、遺影と祭壇をファインダー越しに眺めるのって、この女性が行った結果なのか?それとも第三者が行ったことなのか?
 まったくもって、混乱してしまう。まるでメダパニをかけられるとこういう状況になるのかと思うくらい。対面的には冷静だったと思うけれど、目の前で起こっている現状がまったく自分とはかけ離れた出来事のように思われた。

 事情を説明してのち、そのお客様は、角2型の封筒に写真を戻し、何も買わずに、店をあとにした。なんか少し申し訳ないことをしたなぁと思った。
 
 ワタシ個人でも告別式や通夜、お葬式に出席した経験は少なからずあるけれど、喩え身内のそれであったとしても、遺影と祭壇を写真撮影するのは聞いたことがないし、観たこともない。
 一瞬、「ログ化する個人の有り様」なんてことは浮かんだけれど、まさか個人のブログ用で撮影し、「今日は身内の葬式に行きました。その様子です♪」なんてエントリーはありえないだろう。
 そして、そもそも通夜なり告別式なり葬式で、堂々とカメラ撮影をするのはどーなんだろう?っておもったりもしたけれど。そういえば、sumita-mさんが、お葬式の場で記念撮影するということに言及されていた。

 see : http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090212/1234410059

 一瞬、sumita-mさんの恩師さんと同じように「誰が葬式で記念写真なんか撮るか」とも思ったけれど。パートナーにその話をしたところ、「そういう機会にしか、親戚一同が集まることがないからね。」との返信を頂いた。
 たしかに、身内の葬式の場で、数年来合わなかった親戚と久々のご対面なんてのもあったしなぁ。でも記念撮影の時に「笑顔」になるような合図をするのかどうか、はたまた、親戚一同で暗い顔した様子をフィルムなり記憶媒体に焼き付けるのかどうか。そもそもそういう場面に遭遇したことがないのでよくわからない。
 そもそも何を「記念」するのかがイマイチピンと来ない。

 なお、まったく別のことかもしれないけれど、フィールドワーク先で、とある商店街もしくはある町会のメンバーが亡くなったお葬式のことの話になって、関係者は焼香が終わったあともそのまま斎場でみんなで飲み続けて、祭の打ち合わせをするんだということを聞いて、かなりビックリしたことがある。葬式が4時間以上になって、誰も斎場から帰ることはなく、ダラダラと呑み続けるのだとも言っていた。
 たしかにそうでなければ、主要な祝祭の実行委員が一同に会しないというのもあるけれど、喪服姿で酒を煽って、祭の打ち合わせって、なんか祭礼と儀礼ってリンクしているのか切断されているのかよくわからなくなる。

 なお、その前の週にあるスナックでたまたま居合わせた、葬儀とその関係者さらにはなぜか『初恋のきた道』についてはLivedoorBlogで書いていた。
 『初恋のきた道』では、死者への哀悼の意を表する行為は、棺を担いで斎場から故人の自宅まで練り歩くことであったのを思い出す。
 see : http://blog.livedoor.jp/skeltia_vergber/archives/50921240.html

 いくらフィールドワーカーであり、関係者であっても、葬儀や通夜の席でカメラ構えるのはむずかしいよなぁ。その人とどれだけ懇意になったとしても。

 あと、上記のsumita-mさんのエントリーのコメント欄にて

 「>誰が葬式で記念写真なんか撮るかと先生に言われた。
撮りますよ。我が家に何枚もありますし。」
 というコメントが寄せられていた。

 (@_@;)?よくわからないけれど、そういう葬儀の写真は保存して、第三者に閲覧可能な状況にしておくべきものなの?