「小説」としては否定的な考えもある…?

 『京都新聞』2008年11月4日付記事より;

ケータイ小説選定に賛否
滋賀県教委の中高生向け読書ガイド

 滋賀県教委が進めている読書をしない中高生向き読書ガイドの図書選定で、ケータイ小説を入れるかどうかが議論になっている。手軽で読みやすいと肯定的な意見がある一方、文学的価値に疑問があるなど、ガイドへの選定に慎重な声があるという。
 県教委によると、全国に比べ滋賀県は中高生の読書量が少ない。このため本離れを食い止めようと、読書初心者の中高生向けに初めて読書ガイドの発行を予定している。
 ガイドへの掲載は100冊程度で、選定は市町立図書館の司書や学校関係者ら8人でつくる専門部会が進めている。
 選定会議ではそれぞれの部会員が本を選び、議論を進める。この際、ケータイ小説が話題に上がった。
 部会員からは「本になってベストセラーになっているものもある」「平易な文章も読書のとりかかりとしてはいいのでは」と許容する意見があった。
 一方で「話の脈絡が分かりにくいものもある」「文学的な価値はどうか」「時代を超えて読み継がれるかどうか」など「初めての読書」に薦めるには向かないという声があった、という。
 ケータイ小説は、携帯電話で読める手軽さから中高生から支持されている。しかし、文章が稚拙で絵文字が交ざる場合もあり、「小説」としては否定的な考えもある。
 県教委は、選定は来年年明けごろに終了し、ガイドは来年3月の発行を目指す。中学1年生か2年生に配布する予定という。


 とりあえず、速水健朗氏の『ケータイ小説的』も参考文献で入れておけばOKでは?
ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち

ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち

 それはさておき、「ケータイ小説」の文章に「絵文字」が入っているのは知らなかった。ってもうケータイ小説に触れる機会がないんだけれども。このトピックで考えるべきは、やはり「本」というメディアにすればいいんだろうか?そもそもケータイで読むことは想定されていないだろうし。。。
 それとも何度かリライトされて、書籍化されているもののみを対象にしているのかな?そうすると、例えば『恋空』だったら、どのヴァージョンを対象にしているのかわからないんだよね。
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 あと選定委員さんたちがたくさん書籍化されているケータイ小説を読んでるの?記事には「選んだ」としか書かれていないので、読んだかどうかはわからない。ただ単純に「ベストセラーだから認めてあげてもよくね?」という理由だったら、単純に数の問題に還元されちゃうの?そしたら、『One Piece』とかもいいような。

ONE PIECE 51 (ジャンプコミックス)

ONE PIECE 51 (ジャンプコミックス)

 それこそマンガはいつまでたっても、こういう課題図書や推薦図書にならないよなぁ。学習目的のマンガもいまだにあるのに、どうしても課題にはならないんだよね。その理由はやっぱり「「小説」としては否定的な考え」の前提にもならないのかな。すでに学校や公立の図書館にはマンガや雑誌はごくありふれた風景だけれども、いまだに「ケータイ小説」を購入して、貸し出すことには未だに抵抗があるってことでしょ。ちょっと前には『ハリー・ポッター』がユーザーの要望があったから、たくさん入れましたってなるんだよね。ま、『恋空』があんなに売れた理由は図書館が買ったんだけれども。
「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)

「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)

 そうすると、次の段階としてたくさんの人に膾炙されたことから、権威づけされたということになるんだろうなぁとおもったり。
 あと書いていて思いだしたが、ワタシが活字で、文庫本を中学時代の先生に紹介されたものは赤川次郎の『三毛猫ホームズ』シリーズだった。その時、先生は「こういう本は、いわゆる『小説』的ではないけれど、読書のきっかけとしてはいいから、読んでみてね」と言われたことを思い出した。
 
 なんであれ、オフィシャルな「推薦」で読んだ本はまったく記憶にないような(苦笑)。作文書かされたという「行為」も覚えていないなぁ。
三毛猫ホームズの降霊会 (光文社文庫)

三毛猫ホームズの降霊会 (光文社文庫)