あるドイツ人との出会い

 昨日、スーパーのバイトがお休みだったので、中野で馴染みの店(複数)で飲んできました。

 そこでいろいろなお話を聴いたのですが、一番興味深いのはとあるBAR&CAFEで出会ったドイツ人(男性・Fさん)のことです。
 彼はドイツ北部の小さな街の出身で、現在29歳。職業はプログラマーで、日本にやってきて現在15ヶ月とのことでした。
 彼曰く、「日本に来るまで日本語を勉強したことがなかった」のに、現在では流暢な日本語を駆使して、そのBAR&CAFEに馴染んでいる。
 彼の話の中で興味深かったのは、日本語を勉強している外国人(特に非漢字文化圏)が抱く「漢字」に対するイメージだった。
 ワタシが所属する大学には、多くの外国人の留学生がいるし、私の後輩にもハンガリーとフランスから来た留学生がいる。二人とも女性でとても流暢な日本語を話し、聴いたりできるのだけど、「漢字」のことになると軽 彼がいうには、自分の日本語力はまだまだで、日本語学校で学んだことは、フォーマルな日本語であって、普段こういう場所(居酒屋)とかで学んだ日本語の方がとても重要なんだと。そして漢字に関しては、台湾人や中国人の人たちは、文字を見ただけでもなんとなくの意味はつかめるが、ヨーロッパや南米から来た外国人にとって、漢字はよくわからないけれど何かを意味している記号として認識しているということだった。
 彼の話の中で「漢字=スラング」という認識らしい。また居酒屋とかで話し込んでいても、日本語独特の言い回しなども一種のスラングとして聞こえてくるとのことだった。
 また彼は日本語を勉強して、普段使っていくなかで、日本語という言語だけではなくて、スラングやマナー、作法といったこともあわせて学んでいかないとホントに言語を学んだことにはならないと、すごいことを指摘していた。そしてその文脈で、彼にとって、漢字を理解することは、スラング、さらには方言などに見られる語尾の変化なども理解することに繋がるとも行っていたのが興味深かった。
 そして、彼には相方(一般的な言葉では「カノジョ」)いるらしい。しかもカノジョは台湾人であるがために彼の「漢字」に対する認識が作られていたのだともいっていた。
 彼曰く「中国の漢字はいろいろ省略しているものもあるけれど、台湾の漢字は昔の難しい字がそのまま残っているんだ。カノジョは葡萄とかもすぐに書けちゃうんだ」とのこと。
 うーん、枝豆と小龍包を肴に生ビールをすごいペースで飲んでいるドイツ人に、漢字のことを学ぶとは。

 それから彼は日本に来るまでの話、さらには日本に来てから中野に移り住むまでの話を楽しく語ってくれた。
 ドイツ北部の小さな町で生まれた彼は、高校卒業後にハンブルグへと移り住む。それから海外について興味を抱くが、アメリカには関心がなく、ヨーロッパ内でもなんか面白くないということでアジア、その延長で日本にやってきたとのこと。
 最初に日本で生活したのは愛知県岡崎市。そこで日本語学校に通い、日常会話レベルの日本語を習得。
 それからしばらく岡崎市に住んでいたが、やはり都会がいいということで東京都中野区に引越ししてきたとのこと。
 引越しに際して、岡崎市では外国人が部屋を借りるのに、2週間くらい審査されて、それでも断られていたことがあってそれには腹を立てた。だがそれでも言い返す言葉がわからずにいたため泣き寝入り。それからしばらくは就職先の社長さん宅に下宿していたようだ。
 それが都内に引っ越してきて、外国人でもわずか2日で部屋が借りられたことにびっくりしたという。
 彼がいうにはハンブルグという都市は、小さな居酒屋やパブがたくさんあって、カウンター越しに酒を飲める場所が好きとのこと。その話を受けて、一緒にいたお客さんは「じゃあ、中野はぴったりだよ。ていうか中野に馴染んでいるよ。F」ってはしゃいでいる。
 また彼は新宿のゴールデン街がお気に入りとも話していた。
ワタシはドイツをもふくめヨーロッパに行ったことないんだけど。ホントにそんな感じなのかな?

 また彼がいうには、オーストリアも一応ドイツ語圏なんだけど、野菜などの基本的な単語では全然違うことを話していた。彼の例は、トマトだったんだけど、実際に全く違う単語でびっくりした。
 彼曰く、同じドイツ語圏だけど、ハンガリーにいくと10%ぐらい新しい言葉を覚えるんだよね。だって。

 あとこの間読んだ『ラブホテル進化論』(金益見著)の話をしたところ、ドイツでラブホテルを作ったら確実にヒットするよ。ヨーロッパにはそういう恋人同士の空間がないんだよね。とも仰っていた。隣のお客さんから、「じゃあどこでセックスするの?」と聴かれ、彼は「自分の家だよ。親がいたとしてもね」と笑っていた。あとヨーロッパにおけるセクシュアリティの寛容さってどのくらいなんだろう?
 そのときの会話では、なんだかんだいってやっぱり日本が一番寛容だよねって結論になったんだけど。当たっていますかね?

 成人すると親元を出るのが当たり前の文化圏(これは西洋東洋とわず)であったとしても、恋人同士が二人っきりでいられる空間というものをラブホテルとして成立させたのは日本的なものなんだろうなぁ。あと金さんが「在日韓国人」という話から、やはりドイツにおけるトルコ人クルド人の話にもなった。もちろんそれは彼が日本で最初に住んだ町が、愛知県岡崎市だったことも関連しているんだろうなぁ。
 see : http://nidar.hp.infoseek.co.jp/souko/toukai.html
 またワタシの相方が静岡県富士市在住の関連で、静岡県東部地区は、ブラジル人よりもペルー人が多いとかいう話もしてた。そうすると静岡県における外国人児童の施策においてポルトガル語を優先するかスペイン語を優先するかで、地区によって異なるってことを思い出したりもした。
 それにしても午前2時に中野のBAR&CAFEでこんな話題で盛り上がるとは。いやはや。もうちょっと話を聴きたかったなぁ。

 他の店でもとても興味深い話を伺いましたが、それも書いておこうかな。コンビニとリクルートホットペッパー)による個食化と飲食店を使い捨てにする消費者ってことでしたが、この話も非常に勉強になりました。