在留外国人と管理(メモ)

『読売新聞』の2009年2月17日付記事を二つ;

外国人の不法残留者11万人、5年で半減をほぼ達成
 法務省は17日、今年1月1日現在の外国人の不法残留者数は11万3072人で、前年より3万6713人(24・5%)減少したと発表した。

 政府が「不法滞在者5年半減計画」をスタートさせた2004年の不法残留者数(21万9418人)からの減少率は48・5%となり、同省は「目標はおおむね達成できた」としている。

 不法残留者の減少は1994年から16年連続。今回の減少率は前年(12・3%)の2倍近くに達した。法務省は「07年11月に導入した生体認証(バイオ)審査が奏功した」と分析している。国籍別では韓国の2万4198人(21・4%)が最も多く、中国1万8385人(16・3%)、フィリピン1万7287人(15・3%)と続いた。

 一方、08年に出入国管理・難民認定法違反として強制退去手続きとなった外国人は3万9382人。空港などの入国審査で日本への上陸を拒否された外国人は前年比31・0%減の7188人で、5年ぶりに1万人を下回った。
(2009年2月17日10時43分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090217-OYT1T00300.htm

外国人に「在留カード」…偽造行為に罰則、国が一元管理へ
 政府が今国会に提出する出入国管理・難民認定法改正案の概要が16日、明らかになった。

 中長期に日本に滞在する外国人に対し、身分証となる「在留カード」を法相が発行し、在留管理を国に一元化する。これに伴い、市区町村が発行している外国人登録証明書は廃止する。カードの偽造行為には懲役刑や強制退去処分の罰則規定を設ける。

 カードには氏名や生年月日、性別、国籍、住所、在留資格、在留期間を記載。勤務先や住所などに変更があった場合は、入国管理局に届け出ることを義務づける。

 「特別永住者」と呼ばれる在日韓国・朝鮮人在留カードの対象から外し、新たな身分証明書を発行する。原則3年が上限の外国人の在留期間を5年に延長することも盛り込んだ。
(2009年2月17日03時22分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090216-OYT1T01221.htm

 この入管法の改正については、本当はきちんと調べなきゃいけないんだけれども、1990年の在留資格改正と同じくらいインパクトあるのかな?
 cf.出入国管理及び難民認定法

 上記の記事とは直接は関係しないのかもしれないけれど、自分のメモでつらつらと「在留外国人」の話題で書いておく。昨日、たまたま『クローズアップ現代』(NHK)を視ていたら、インドネシア介護士の話をやっていて、インドネシアでは看護師の資格を持っている若年層をリクルートして、日本の地方の介護施設に「介護士」の研修生として勤務させるという話だった。3年間の「研修」期間に、現場の介護士として勤務する一方で、国家資格を一回の試験でパスしなければ、日本に在留することはできないんだって。
 だが実際に介護士として働いている人たちは自分の看護師としてのスキルを生かす仕事をさせてもらえず、慣れていない介護の現場であり、異国である日本での生活に適応するだけでも苦労するのに、日本人ですら半分しかパスしない国家資格を取らないといけない状況に追い込まれる。さらに受け入れ側の施設は、日本人介護士が不足し、離職率も高い現状では、外国人介護士の存在がなければ、介護施設そのものがつぶれてしまうということで、なんとか外国人介護士をうまく適応させるために努力せざるを得ない。その一方で、政府(ここでは厚生労働省)は「外国人労働者」を認めるわけには原則いかないので、あくまでも外国人介護士は「研修生」として一回の国家試験でパスしなければ、在留もさせないってことになっている。しかも外国人向けの試験とかそもそも考えていないようだし。
 
 さらに日曜に放送された『沸騰都市シンガポール篇は、途中から視たので見直しますが、たしかフィリピンからのハウスキーピングしている女性たちは、毎月妊娠しているかどうかチェックされるとかいうことも、将来的にはつながるのかなぁと思ったりした。
 もちろん、1つ目の記事にある「不法在留」している外国人の減少は、全体的にみたらよいことかもしれないが、「不法在留」=犯罪者という安直な図式には必ずしもならない事例が数多く出ているのもまた事実。
 グローバリゼーションがどの国家も受け入れざるを得ない結果、国際的な人的移動が増大するなかで、国家がいかに移民を管理していくのかが、おそらく重要になるのは間違いないし、単に外国人排斥を訴えたところで家族の再生産が起こってしまえば、彼ら彼女らの処遇については考えざるを得ないし、地域社会だってどのように外国人と折り合いをつけていかざるをえないし、実際に同じ労働者だったりするわけでもあるんだよね。
 あ、やっぱり『沸騰都市シンガポール篇とロンドン篇見直さなきゃ。
 そしてこの「在留外国人」の「管理」に関する問題が、1960年代の東京においては地方出身者への施策との関係も気になったりする。そもそも映画『Always 三丁目の夕日』に出てくる女性たちは地方出身者で、青少年対策課が担当する「社会問題」のネタのひとつにあげられてもいたんだよね。

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